はいら日記

犬の顔にはめるバケツみたいな何かと数千万円するエルメスのバッグばっかり宣伝される

わかんなぁい…

お友達の来訪

東京から高校同期のAとTが遊びに来た。二人は滅多に会えないので私は部活をさぼって一緒に遊ぶことにした。私としては朝っぱらから遊びまわっていたかったのだが、夜行バスに精神と体力を削られた二人は私の家に着くなり早朝なのにカップラーメンをがっつり食べ、寝始めた。夜行バスで来た人たちは皆一旦私の家で仮眠をとるのでちょっと面白い。

二人が起きてきたので大学を見せに行った。毎日見ているのでもうどうとも思わないが、他大学の人から見たら奇異に映るらしい。いつもサークルで使っている、学生運動時代の空気未だ漂う部屋を覗かせたら恐れ慄いていた。

銀閣寺を見に行った。道中色んな話をしたが内容はほとんど忘れた。恋愛の話を聞いてなぜ自分はこうもモテないのかと途方に暮れたことは覚えている。人生唯一の恋愛経験が幼稚園時代に五歳のグアテマラ人に告白されたことであり、その話で未だ笑いをとり続けている私からしたら「好きでもない人から好かれても困るだけだよ」という言葉など大金持ちが貧乏人に「お金があっても幸せは買えない」と説くのと同じくらい残酷である。

銀閣寺に着いたが私は先日も行ったばかりである。貧乏人としては拝観料のかかる場所にはワンシーズンに一度しか入りたくない。二人を入らせて私は一人門の前で読書していた。

ハンバーグ

三人でハンバーグを食べた。大学生グルメはやはり安くて多くて美味しくて最高である。

Tがまるで地元民であるかのようにお爺さんに食券機の使い方を教えていた。一度来たことがあるはずなのにもたもたしていて勝手に注文を取り消された私よりもよっぽど彼女の方が注文が上手である。

私以外の二人は量を見誤り残す羽目になっていた。

そういえばハンバーグはもとはといえば肉を細かく砕いて調味したタルタルステーキであり、それを食べやすく加熱して今の形になった、つまり遊牧民の料理であったことを思い出した。

神社と天気

二人に神社を見せようと思って歩き出したのはよかったが、なんとここで目まぐるしく晴れと雨が切り替わり始め、なんと太陽の光とともに雨粒が降り注ぐようになり、ついには横殴りに雪が降り始めた。この地の天気がそんじょそこらの女が束になった程度では勝てないくらいにメンヘラなのは常だが、今日はいつにもましてひどい。二人にとっての洗礼にもほどがある。

やっと晴れ間が現れたのでその隙に神社に入った。全く知らなかったのだがこの日手作り市をやっていたらしく、テントがずらりと軒を並べていた。三人で手作り市のような場所にいる人はなぜ異常に高い確率でベレー帽とニット帽を被っているのだろうという話になった。ちょうど私もベレーを被っていたのでこれで頭全体を包むように被り直すことで周りに溶け込むことに成功した。(こんな風にベレー帽は一歩間違えればすぐに素朴系コーデを完成させてしまうので私はこれに悩まされている。)

神社内にある尾形光琳の絵のモデルになったとされる梅が満開を迎えていた。刺すような冷たい風が吹き付けたと思ったらさんさんと陽が降り注ぐ天気のメンヘラ具合に耐えられなくなった薄着のAは服を買うことにした。私もちょうど部活で靴を汚してしまって新しいものが欲しかったところなのでこれ幸いと川沿いに歩き出した。しかしまたもや天気が荒ぶりはじめ、私達は橋の下にしばらく閉じ込められた。Aに至っては初めての京都なのにこんな目に遭うのはあまりにも可哀想である。私は「雨、晴れ、曇り、雪、全ての天気が見れてよかったね」というフォローを入れることしかできなかった。

雨がやんでやっと橋の下から脱出できたと思ったら、雨に濡れて草木がキラキラと輝き水も澄んで異常にきれいな光景が広がっていた。本来ならば感激しても良いのだが、さっきから山も顔負けな天候の変わり具合を見せられ五分ごとに天国と地獄を行ったり来たりしていたのでもう笑うことしかできなかった。

パフェ

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パフェを食べた。ここでTはお冷をひっくり返したのだが、実は彼女はハンバーグ屋でもお冷をひっくり返している。今日は物忌みでもしていた方が良いかもしれない。二人が私の知らない海外のアイドルや俳優の話を始めたので私は一人信じられないスピードで流れていく雲を眺めていた。

お買い物

古着屋に行って私は中古のスニーカーを買った。汚れてはいたが似たようなものを新品で買うと確実に五倍はするのでそれを加味すれば安いものだろう。あとイヤリングを買った。

Aは古着屋には気に入るものが無かったらしく、結局GUでスカートを買っていた。

その後祇園を見て清水に連れて行った。ここは現在毎年恒例のライトアップをしているが、それも今年で最後らしく私もかねてより見に行きたいと思っていた。

ここの街並みは本当に観光のためだけに存在しているという雰囲気でとても綺麗だ。Aがこのあたりを「どこかの観光地で見たことある光景の完全上位互換、本物バージョン」と形容していた。二人から「夜に来て良かったね」との言葉を頂いたので行程を計画した私としては光栄である。確かに映えるのだが、なぜビームを出しているのかは理解しかねる。寺に出せるなら私もできるはずなので練習したいと思う。

清水寺もまた最近入ったので私は外で待機していた。今読んでいる破戒もいよいよ佳境に差し掛かったというところで二人が戻ってきた。他の神社も案内するつもりだったが、二人がもう足が棒のようだと主張したのでバスに乗って帰ることになった。ここでも私は持ち前の貧乏人根性を発揮し、一人だけ徒歩で帰った。

二人をかなり疲れさせてしまったが、沢山のものを見せられて良かった。

ちなみに今日のタイトルはAに何にすればよいか聞いた時に帰ってきた言葉をそのまま使っている。

おしまい。