はいら日記

犬の顔にはめるバケツみたいな何かと数千万円するエルメスのバッグばっかり宣伝される

京阪物語/趣味バレ

今日は徹夜しようと決心していたはずなのになぜか気づいたら朝だった。そして乗ろうと思っていた電車が出発する8分前だった。さらに風呂に入っていなかった。久しぶりに高校同期fに会いに大阪に行こうとしているのにこんな状態では家から出ることすらままならない。モテるにはまず清潔感と言われているのに風呂に入ることすらできない人間には彼氏ができないと嘆く権利すらない。電車を遅らせることにした私は突然本気を出し30分で風呂とメイクと荷詰めを済ませ家から駅までヒールで一瞬も休まず走り抜けた。これは幼少期から体力と運動神経の無さで名を馳せ大学になってからは一日の大半を布団の中で過ごす私としては大変な快挙である。

 

何とか電車に乗り込み肩で息をしていたら、突然免許合宿がほとんど埋まった状態になりつつあることを思い出した。時期や値段を親に相談していたら、父が執拗に私の運動神経を心配する発言を繰り返してきた。

お金を出してくれることに関しては本当に頭の下がる思いだが、あまり私を舐めるのはどうかと思う。あと、私の運動神経は偏差値30台ではない。高校時代の50m走都内偏差値は19である。

恐らく無事に申込できたが、一緒に行く友達もいないし車のことも大して好きではないしお金はかかるしで今からもう憂鬱である。

 

久しぶりにfに会ったら開口一番に「久しぶりな気がしない」と言われた。下手な恋人よりもよっぽど電話し合っている仲なのだから当然である。彼女は10㎝のヒールを履いており、私より高くなったことや世界が違って見えることをしきりにアピールしてきたので「私が勝てるの学歴しかなくなった」と返したらこの世の終わりみたいな顔をされた。彼女は元彼が二人も学歴廚なのに友人たる私まで学歴廚になってしまって同情を禁じ得ない。

私達はあまり頭が良くないので電車を使えば良いのに1時間くらいかけて大阪市内を歩いて移動した。その間キャリアと日本と思想の話をした。

道頓堀のグリコ看板の所に着いたので写真を撮ろうと思ったが、普通に同じポーズをするのは全然癪だったので口からグリコの人が飛び出ているような写真を撮ろうと思った。結局失敗して足を齧ってるだけみたいな写真になった。

そしてたこ焼きを食べた。マヨネーズが苦手だから半分かけないでくださいと頼んだのに普通に無視された。

その後喫茶店でパフェを食べて四方山話をした。fはこのあとミスチルのライブに行くらしく、「もうすぐミスチルに会えると思うとお腹痛くなってきた」としきりに言っていた。私も全国宝が公開される展覧会が東京国立博物館であると知ったとき行きたい気持ちのあまり腹痛を起こしたのでその気持ちはとてもわかる。

 

彼女と別れて私は別の高校同期、そして大学同期でもあるkと美術館に行く約束をしていたので帰った。もう2か月くらい前にICカードをなくして以来ずっとそのままなので乗り換えの度切符を買わなければならず面倒なことこの上ない。

さらに駅から美術館が思ったよりも遠くて遅刻した。かつて遅刻が原因でバイトをクビになったことがあるのに何故過ちを繰り返してしまうのだろう、自分ってかなり愚かで凄いなと思った。

この美術館は初めて行ったが、作者の有名無名にかかわらずひたすら超絶技巧の工芸作品を見せてくれるのでかなり楽しかった。

最近は絵にしろ立体にしろアウトラインが見えていてササっと作ったように見えるのに確実に形が取れているものが大好きなので、堀った面が見えているのに形が正確に取れている木彫りに見とれていた。面で捉えろとは耳にタコができるまで聞いているが、それはかなり難しいことなのだ。そしてkは私のこういうくだらない感想を聞いてくれて「やっぱり絵を描く人なんだね」「〈私〉もできるよそういうこと」とめちゃめちゃ肯定してくれるので毎度のごとく恐れ入ってしまった。

美術館を出て歩きながら話していたら、最近皆に恋人ができているという話になった。ついに我が道を往くタイプの人まで恋人ができ始めている。いよいよ最後の波が来たのだろうか。我が道を往くタイプの人の端くれ(笑)としてはこのビッグウェーブに乗れなかったらなんだかもう終わりな気がするけれどどうすれば良いのか皆目見当もつかない。

 

いい感じのカフェを見つけて入った。座敷でコーヒーが飲めるのが良かったし、久しぶりに飲んだカフェオレが美味しかった。

 

家に帰ってkは私の漫画を読んだ。私はこの間買って積読していたガレの図録を読んだ。kに普段どんな曲を聴いているか紹介したりされたりした。kはもう5年目の付き合いでかなり心を開いているのであまり人に話さない趣味の話も結構できるのだ。この時私はこれに関する重大な事件が起ころうとは夢にも思わなかったのである。

夕食を食べに行こうとしてgooglemapで色々見ていたらこの辺にもかなり良さそうな店があることが判明した。こんなに魅力的なものに囲まれているのに1年とちょっとを棒に振っていたらしい。結局kが教えてくれた近くの洋食屋に行った。

 

趣味バレ

kも帰って楽しくブログを書いていたら友達から1通のラインが届いた。私が彼女に送ったパソコンをスクショに写っていたブックマークからオモコロが好きで匿名ラジオを聴くという趣味がバレたらしい。彼女が同じ趣味を持っていることは一方的に把握していたが、謎の自意識を拗らせて趣味をひた隠しにすることが趣味のようになっている私は顔から火が出そうになってしまった。この奇癖のせいで初対面の心を開いていない人との会話では

「土日は何してるの」ー「寝てます」「散歩してます」

「どんな音楽聴くの」ー「わかりません」

「どんな映画が好きなの」ー「映画あんまり見ません」

とこんな調子になってしまう。このせいで人に「共通言語がないな」と呟かれたり「休日何してるか全く想像がつかない」と言われたりしており、対人関係にかなり悪影響を及ぼしていることは火を見るよりも明らかである。雑談でもいつも半分作ったような趣味の話と奇妙なエピソードトークでのらりくらりと自分の趣味が知られることを避けているのだ。そもそもこのブログを始めたのだってリンクを知っている人とネットの海の中で偶然辿り着いた人相手にだけでも自分の好きなものをちゃんと開示できるようになりたいと思ったのがかなり大きなきっかけなのに。一体知られることの何が怖いというのか。こんなだからいつまで経っても親しい人が増えず皆にうっすらと意味不明な人と思われるのだ。

こ、殺してくれーーーと思う一方で趣味仲間ができてよかったじゃんと思う自分がおり、見えるところにブックマークしていた時点で誰かに気づいて欲しかったんじゃないのと思う自分もおり、そんなに自分をひた隠しにする方がよっぽどヤバいんじゃないかと思う自分もまたおり、良い機会だったんじゃないのと思う自分もいて頭がめちゃめちゃになってしまった。無難な返信をしたら少し落ち着いたがかなりヤバい。しかしこんなスタンスをとり続けていることを反省した方が良いのは事実であるので反省する。