はいら日記

犬の顔にはめるバケツみたいな何かと数千万円するエルメスのバッグばっかり宣伝される

とんかつ定食とお菓子作り

入試

つい最近まで私の通う大学も入試をやっていた。この騒ぎに乗じて現れる奇を衒った置物の数々、それをなんとか撤去しようとする大学職員、稀代のバズりコンテンツでなんとしてでもインターネットの注目を搔っ攫おうとする学生、契約を取り付けようとする不動産屋、絶望と希望にまみれる受験生、そして野次馬で大学前はてんやわんやであったはずだが、私は部屋で楽しく寝ていたのでそんなことは知らぬ存ぜぬである。

しかし母から1年前の私の写真が送られてきて当時のことを懐かしく思い出した。思えば新幹線にいざ乗らんとするとき白目をむいて写真に写ったり、1年間満員電車の人ごみに揉ませて作り上げたぼろぼろの教科書をいかにも猛勉強の末そうなったかのような顔で取り出して周りを威圧したり、なかなかにちょけていた。受験に対してはかなり本気だった気がするのだが、やはり受験は精神を狂わせるのでこうなってしまった。

初日の数学で撃沈して口もきけないほど凹む予定だったのが、歴史的な易化により全問解けた。母が私の試験中に散歩していて見つけた雰囲気の良い店で夕食をとろうとしたら料理が出てくるまでかなりかかってしまったが、予想外の展開に上機嫌になっていた私は母の「ごめんね、明日も試験なのにこんなに時間のかかる所に連れてきちゃって」という言葉に「大丈夫大丈夫、全然平気~!」と能天気に答えていた。しかし店主への「この子が受かったら家族でまた来ますんで」という言葉はネガティブ思考の私にとっては癪に障るものであった。

受験は人生の大半を捧げたイベントであるだけにやはり語れる思い出は多いなあと思う次第である。

部活

今日は部活の用事で珍しく朝早く起きた。おかげで奇跡的に朝のうちに洗濯を済ませることができ最高ウキウキの状態で向かったが、部室棟で見事迷子になり、部活の人に運良く遭遇できるまで棟内を徘徊する羽目になった。もう一つ入っている部活では誰一人として部室の位置を把握しておらず、部長含め皆で毎回まぐれで部屋を見つけるまで彷徨っているのだが、こちらではその常識は通用しないようだ。さらに服が汚れる活動をするのに普通の服で来てしまい、絶望のさなか。私以外の部員は前回のプロジェクトに参加しているので全員ジャージである。困っていたら親切にも同学年の男子に重ね着していたジャージを貸していただけた。長期間やめていただけにまだうまくできない。これからはちゃんと普段の練習会にも行こうと思った。

今やっている新歓のプロジェクトは音楽に合わせてする出し物なのだが、流行りのjpopに疎いので今回初めて知った曲ばかりであった。jpopで聴くのは米津玄師とヨルシカだけだし、マリーゴールドには友達が歌っているのを聞いたという間接的な形でしか触れたことがないし、ドライフラワーの優里は1年前まで男と知らず勝手に同じ名前のクラスメイトの女の子をなんとなく想像していた。あらかじめ聴いておこうと思ってYouTubeを開いたら候補曲の再生数がどれもこれも多いことに度肝を抜かれた。

とんかつ定食

部活の皆とご飯に行った。この店は今まで行ったことがなかったし、学生に人気だということも知らなかったので嬉しかった。素朴な雰囲気の店で、後でサイトを見たら阿部寛のホームページかと思うほど簡素であった。店内のそこかしこに私の大学の体育会のポスターが貼られているのを見て体育会所属の学生に会食制限がかけられている今結構な打撃を受けているのではないかと思った。

大食いの先輩の料理が運ばれて来たのでそっちを見たら、あまりに大きなおかずが数多くこれまた大きな皿に山と積まれていて、その様子は宝船を思い起こさせた。彼の食べていた米も漫画でしか見たことないような盛られ方をしていた。私の食べていた量でも結構満腹になったのに、由々しきことである。それにしても多いご飯を食べると毎回必ずあと一口のところで急に限界が来るのはなぜだろう。

皆でタコピーの原罪の話をした。私はあの歪みがあるのに綺麗な絵柄も結構好きだなと思う。

なぜかとんかつの大きめの一切れを嚙み切らずに縦向きに口に突っ込んでしまい、喉の奥の防御力が低い部分に衣が突き刺さって、それでいて肉の大きさゆえに口の中で動かすこともできず一人悶絶する羽目になった。表情には出なかったらしく、私が肉を吐き出して社会的に死ぬかとんかつを喉に刺して物理的に死ぬかの二者択一を迫られていた時も皆は和気あいあいと話していた。死因がとんかつなんて死んでもごめんである。幸い吐き出さずになんとかでき、人間はリクガメのように長いものを丸呑みしてはいけないという貴重な教訓を得た。(私の実家にいるリクガメは細く切ったパプリカを嚙み切らずにずいずいと喉の奥に押し込んでいって丸呑みすることができる)

友達と春になったら悪名高いテニサーの新歓に新入生のふりをして潜入しようねと約束して別れた。

お菓子作り

ここで私は別のサークルに向かう。バレンタインにかこつけて今頃お菓子作りをやっているらしい。

待ち時間が少しあったので水道修理業者のマグネットの話になった。かつて私がその一文字一文字を切り抜いて組み合わせ脅迫文のようなものを作ろうとしたことを話したら、推しの先輩に大絶賛されたので嬉しくなった。ちなみに彼は家に届くマグネットを全て捨てずにレンジフードの、それもなぜか内側に貼っているらしい。引っ越し前に持っていた分も新居に持ってきているのでもうレンジフードの内側は一杯らしい。

今日は学生が運営しているコワーキングスペースでやっていた。ここを私が知ったのは意識高い系の同級生が教えてくれたからである。彼女はなんだか価値観が私と合わないなと感じることが多い上(あまり文化に投資する気が無さそうだった時一番それを感じた)、女性や〇〇大生という型に当てはめて私を見ており、あまり馬が合わないタイプなのだろうか...と思っている。あとナンパ自慢まがいのことをされた時は正直ガン冷めしました。こんなところで愚痴っても私の品位が落ちるだけではあるが、そう思ってしまう。こういう状況に加え、ここの運営をしている知り合い達が盛んにここを広めようとして私が関係ない場所で入ったコミュニティにも食い込んでくるのがなんだかおもしろくなかったのだが、他のメンバー達は普通に良い感じがしたし実際やっていることを聞くとなかなか面白いので最初のイメージでここを見続けるのはいかがなものかと自分でも思い始めたところである。

それはそうとお菓子作りの話に戻る。高校一年の時卵はタンパク質なんだから混ぜて焼けば固まるだろの精神のもと「何か」を焼き上げ、翌年は完璧な外見のステンドグラスクッキーを作るも使っていた飴がのど飴だったことで大顰蹙を買った私にとっては千載一遇、名誉挽回のチャンスである。なんとしてでもここで私はお菓子作りができないわけではないと示さなければならない。

イチゴのタルトをとある女の人とペアで作ることになった。この人は他大生らしいのだが、そんなことは聞く前にもうわかる。私の大学の女子が普通に可愛いのは事実だが、やはりおしゃれの次元が違う。一生かけてもそのレベルには辿り着かないだろうと本能的に察知するくらいには次元が違う。こんな人大学ではついぞ見たことがないぞ。この人はお洒落な上にノリが良く、コミュ力が高いので見習うべき点は多い。そしてパチンコ屋でバイトしているらしいのだが、立っているだけで時給1,200、機械の不調はなんか叩けば直ると言っていて羨ましかった。

彼女とビスケットをジップロックに入れて木端微塵にし、さあバターを入れようとしたところ、なんとどこにもバターがない。聞き取り調査の結果、ガトーショコラを作るチームが間違えて50g増しでバターを入れてしまったことが分かった。これはこれはこってりしたガトーショコラができるぞ。いやそれどころではない、私達のバターはどうするのだ。とりあえず私が家に帰って何か月も使い道が見つからず冷蔵庫の奥に眠っていたマーガリンを引っ張り出してきたが、なんと賞味期限を5か月も過ぎている。しかしこれを使うしか道は無い、皆さん体調を崩したらどうぞ私のせいにしてくださいという思いでマーガリンを温めたところ、なんと爆発した。私はなんて料理の才能がないのだろう。もう終わりだ。犬が料理したほうがどれほどマシか知れない。大体なぜ目玉焼きにしろマーガリンにしろ爆発という今時二次元キャラでもしないような失敗をしてしまうのか。電子レンジが溶けたマーガリンの香りでいっぱいの香りレンジになってしまった。

どうにかこうにかタルトを完成させたところ、ガトーショコラもパウンドケーキもまだまだのようだったので、余ったいちごジャムを使って寒天を作ったり、ビスケットにマシュマロを挟んで焼いたりした。イチゴ寒天をタルトの上に流し込んだら好評だったのでひとまず良しとしよう。名誉挽回(?)である。

一方ガトーショコラ組はバター過剰なものの順調に作業を進めいざ焼こうとしたところ、未開封の生クリームを発見した。そう、生クリームを入れ忘れていたのである。どうりでやけにネチョネチョなわけだ。どこまでやらかすんだガトーショコラ組。急遽型に一度入れた生地を取り出して生クリームを混ぜ直そうとしたが、ネチョネチョすぎるせいで一向に上手くいかない。私達も手伝って何とかした。

 

こうして見るとさしたるトラブルもなく焼き上げたパウンドケーキ組はやはり本当に素晴らしい。

波乱万丈であったが、なんとか皆でテーブルに着いて食べ始めることができた。ところが、私はとんかつ定食を食べてきている。これに大量のお菓子を食べ、さらに暖房器具の熱が直にあたる所に座らされ、相当に朦朧とした。最後の方はもう誰の話も聞いていなかった。百均の小さな使えないハンドミキサーでずっと遊んでいた気がする。

こうして食べすぎの私の一日が終わった。明日は食べる量を減らさなければ体はいよいよ完全な球体に近づくだろう。

ところで色々な高校同期にブログを始めてほしいです。

おしまい。