はいら日記

犬の顔にはめるバケツみたいな何かと数千万円するエルメスのバッグばっかり宣伝される

R,参上

高校同期のRが遊びに来た。許しがたいことに彼女の大学は私たちよりもかなり早く冬休みに入るのである。彼女を部屋に泊まらせるために徹夜で部屋を片付けていた私は風呂洗い、トイレ掃除まですべて終え大急ぎで風呂に入り、びしょびしょの頭で考えた。これは自転車で彼女を迎えに駅まで行ってもいいものだろうか。外は雪である。携帯を覗くと朝のうちに雪は止むとの予報である。バスで行った際の交通費と天秤にかけ、自転車で行くことを選んだ。しかしこれが大誤算で私は吹き付けるつぶてのような雪、狭まる視界、刺すような寒さと戦うことになった。顔の目から下は眼鏡とマスクでおおわれているから良いのだが、風で前髪はどこかへ消えて額に雪が突き刺さる。眼鏡が真っ白で何も見えなかったせいで気づいたときには目の前に階段が迫っていた。朦朧としていたのでスピードに任せてマウンテンバイクのごとく駆け下りたが、明らかにこの自転車の本来の用途とは異なっている。寿命も近いかもしれない。指先も冷え始めいよいよ危険な状態になってきたところでやっと駅に着いたが友達が見つからず、髪を振り乱した真っ白メガネの自転車を押す謎のびしょ濡れ女に腰を抜かす人々を横目に駅を徘徊した。やっと会えたRには爆笑されバカ扱いされたが、そうこうしているうちに空は晴れ上がり私の苦労は報われたのであった。Rはそれにしてもバカすぎると言っていたが。

東本願寺に行った。本願寺は二つとも超豪華な内容で展示も見れたり、お茶を飲めたり休憩したりできるのに拝観料がいらないので浄土真宗の財力とは凄いものである。

夜行バスに乗ってきたRも徹夜で作業したうえ死線をくぐってきた私も疲労凄まじく一旦家に帰って休むことにした。

休んだ後Rが行きたがっていた店に昼食をとりに行くことになった。一日に提供できる数が限られているらしい。いつもインスタで同級生がおいしそうなご飯を食べているのをを見てなんとなく羨ましさを感じていたので、私もそんなご飯が食べられるかと思うとテンションも上がるのである。鴨肉を食べたのだが、鴨って鳥のくせに牛肉と似ていてすごいなと思った。

二人でその辺を散歩し、Rは雪でぬれた靴の代わりに新しいものを買った。高校同期kが合流して三人でパフェを食べた。恋愛の話になって思ったのだが、私が自他に関わらず恋愛にほとんど興味がないのを親しい人たちは知っていて他人のうわさ話すらも聞かせてくれない。そのせいでただでさえ恋愛を捨象している私の世界はどんどん取り残されていく。別に良いのだが、なんかあったら聞かせてね❤。Kは私が雪の中ひどい有様になってRを迎えに行った話を聞いて「愛だね」とコメントしたのだが、この話を私のおバカエピソードとして笑い飛ばした他の有象無象には絶対出せないこの言葉に私はいたく感動した。彼女は思考回路に含まれている人徳の量がそこらの人間どもとは段違いなのだ。その後は帰宅し、風呂に入って爆速で寝た。Rによると12時間寝たらしい。おしまい。