はいら日記

犬の顔にはめるバケツみたいな何かと数千万円するエルメスのバッグばっかり宣伝される

観光Sunday

大学の友達と嵐山に行った。嵐山がどこにあるのか良くわかっていなかったら思っていたよりも遠く、メイクもそこそこに大急ぎで家を出る羽目になった。その上忘れ物をして一旦引き返すことになり道中額に汗を浮かべながら自転車を電光石火の速さで飛ばしていった。

友達とも無事合流したものの、まずは人の多さにびっくり仰天した。夏に行った時は本当に人っ子一人おらず、かの竹林でさえ閑古鳥が鳴いていたというのに、何だこの人出はふざけているのか。

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夏の様子。さすがにこれはバグっているとはわかっていたが、行楽シーズンになるとこれほど人が湧き出てくるとは思わなんだ。落ち着いてきたとはいえコロナウイルスがまだ幅を利かせている時代だ、平年ならこれよりさらに多いのだろう。渡月橋を渡るのに何分もかかるし、人込みで1m先も見渡せない。渡月橋の手前に至っては芋を洗うような混雑で、交通整理のおじさんが車道を歩くなと拡声器で怒声を上げている。

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えぐい。キモイ。

とりあえずどこかでごはんを食べようと思ったものの、二人ともどこに何があるのか全く分からずとりあえずひたすら行ったり来たりした。朝ごはんが水だった上に本気のサイクリングを市民に見せつけてきた私はすでに腹ペコ、適当にえいと決めてうどんを食べた。 おいしかった。うどんが出てくる前にお茶を両手で挟んでくるくる回しながら喋っていたら遠心力でお茶が全部飛んで行って今年初めて着た白いニットにべしゃあとかかったが、おいしかったので良しである。

紅葉のシーズン真っ盛りなのだからどこか寺や神社に行きたいねとなったもののどこが良いのか皆目わからないので、適当に検索して出てきた画像が綺麗だった宝厳院にした。

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最近暇さえあれば紅葉ばかり見ている気がするが、今までこんなに紅葉らしい高揚を見たことが無かったので何度見ても楽しいのだ。おそらく人生最高濃度の秋を浴び続けている。もうすぐ浸透圧で体がしぼみそうだ。

散歩してコロッケを食べた。食べ歩きの店あるあるの芸能人に紹介されましたという張り紙が誇らしげに貼ってあって面白かった。これをあるあるだとわかっていながら律儀に客が眺めるのもあるあるだと思うし、面白い。

パフェが食べたくなって必死に店を探したが、嵐山には意外とまともなカフェが少なく万事休してしまった。仕方なくぜんざいを食べたが、ここもとても混雑しており寒空の下かなり待たされた。いざ店に入っても店員はてんてこ舞いの様子で、繁華街や観光地の回転が速い店では絶対にバイトしたくないなと思わせる。

白玉がもちもちでおいしかった。京都は何よりも市街地に迫る山が魅力だ。どう写真を撮っても背景がまずかっこよくなるし、秋は本当に色が変わって素敵。典型的な盆地のため山の手前までずっと平地でめちゃくちゃ歩きやすく、最高だ。やはり国内のナンバーワンの観光地は歴史、地理ともに最高のコンディションなのだ。あとは市が政治をもうちょっとうまくやってくれればな…。

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猫。

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川沿いに散歩していたらテンションが天まで上ってしまった外国人の集団に遭遇した。ツアーの先頭の人は旗をぶんぶん振り回し、「コンニチハアアアア」「コンバンハアアアア」と船に乗っている人々に話しかけ、手を振り返されてキャアアアアアと黄色い歓声を上げていて楽しそうだ。あんなノリで観光できるように私も修行したい。

おしまい。

ビルの20階で殺し合いに参加させられる夢を見た。私はルールの穴を見つけてすぐに脱出に成功し、エレベーターに乗って降りようとしたのだが同じく脱出できた人々が大挙して押し寄せて1台しかないエレベーターを呼び戻すため、下がっている途中なのに何度も戻ろうとしてしまう。一人しか勝ち残れないゲームだったので誰とも合流したくない私はエレベーターが昇り始める度必死になって1階のボタンを押しまくり、何とか脱出に成功した。20階に取り残された人たちはそのまま全員死んだらしい。下層階は高級ホテルになっており、デスゲームを勝ち抜いた報酬としてそこでバカンスが楽しめるようになっていた。バカンスを満喫していたら目が覚めた。置いてきた人達の中には仲の良いクラスメートがいた気がする上、沢山の人を見捨てたのだから寝覚めはあまり良くなかった。

華金↔鬱金(これでウコンと読むらしい)

学生運動の残滓

昼、暇だったので某大学の某寮が開催する時計台占拠を見物しに出かけた。結構な人だかりができていて、門の前にはドミノでも始まるのかというほどの数の警察官がびっしりと整列していた。ライブだの炊き出しだのやっていて、合図とともに鳴らしてほしいとクラッカーを手渡された。こういう雰囲気は楽しんだもん勝ちという思想のもとありがたく受け取ったが、私の持ち方が悪すぎるせいで爆発せずに紐と本体が分離して本体だけどこかに飛んで行ってしまった。職員、警官、寮生達が睨み合って物々しい雰囲気だったのに、いつまでたっても時計台に上る様子がないので飽きてきてその場を去った。結局上らなかったらしく、残念だ。

植物園、いいね!

植物園に行った。途中、サギが大集合していていったい何が始まるのやら…もしかして時計台占拠か!?となった。

植物園に行くのは初めてだったので、楽しみにふんぞり返りながら堂々と入園していった。

この菊は色ごとに御所の春、御所の秋、御所の冬とあと一つ別の名前が付けられていたのだが、御所の夏だけシカトされており日本のいじめの陰湿さを感じた。

すべてのアイディアが尽きたタキイオリジナルガーデン

悪い科学者に閉じ込められたラフレシア

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ポインセチアの原種はこんな背の高い植物で赤い部分も細く短いらしい。希少らしく、職員がアメリカまで出向いて持ってきたそうな。

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アフリカの水草、レースプラント。凄くない??

こんな霧のかかる温室は初めて見た。

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トリケラトプスの頭蓋骨みたいなシダの仲間。垂れ下がっている部分で光合成をし、その付け根にしか胞子は着かないらしいので、シダの葉の裏側の胞子嚢が苦手な人にも優しいのではないかと思う。みんな大好きキソウテンガイ。風によって避けるため何枚もあるように見えるが葉は二枚しかなく、永遠に伸び続ける。根は地中深くまで伸びて水分を得る。

ランは花の中でもかなり好きな部類に入る。中でも一番好きなのはここにはなかったがネジバナで、子供のころはその辺に生えているのをむしり取って帰り、自室にこもってじろじろ眺めまわしていたものである。高校の近くにも生えており、帰り道に見つけては秘かに喜んでいた。実は単子葉類らしい。

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最近忙しくて紅葉を見に行けず、しばらくぶりに見たのだがまさに今真っ盛りになっており、燃えるような赤が目に痛かった。紅葉といえば、少し前にツイッターのトピックのおすすめとして手や髪がもみじみたいな恐ろしく下手で不気味な初音ミクの絵ばかりが表示されるようになってしまい、その癖していいねがかなり多いのも相まってストレスが限界に達してしまった。私の方があれに比べれば5億倍ましだという自負があるのに、この間頑張って描いた絵はいいねが2しかつかなかったし。(私がインターネット下手すぎるのが悪いのだが。)絵が上手になりたいというのがすべての根本にある欲求のはずなのに、こういうのを見ると邪な感情が覇権を握ってしまう。ていうか他人の絵にケチつけるなという風潮は別にいいけど、皆で絵を心置きなく批評し合える場所がSNS上にあってもいいのではないか。それができたらその初音ミクの絵にバチクソ辛口批評をぶつけてやるのに。

盆栽を展示していると思って機嫌が良くなって小走りで向かったらトイレだったので私の高揚を返してほしい。結局こうして見れたのだが。昔は盆栽の良さがわからず、英語のアクティビティでつまらないと思う趣味を聞かれてbonsaiと答えたこともあったが、今は非常にかっこいいと思っている。盆栽が見れる場所があるときはそこに老人しかいなくても気にせず必ず行くのだ。盆栽を見る度、早く金持ちの老人になってこういうのをいじって死にたい~~~と思う。

気に入っている写真

えっ私のカメラ、画質良すぎ…となった写真。

植物園、入園料はそこまで高くないのに空いていて、紅葉スポットとしては異常だった。また、そのわずかにいる人間も大体は老人で落ち着いて見れる。空が広くて山が目前に迫っているというロケーションも最高だ。また別の季節の生きたいと思う。次は桜かな おしまい。

今日で人生何個目のハンバーグを食べたと思いますか?私は知りません。

友達と神社に遊びに行ったら海を割るようにして道があって両側はガラスで仕切られて水族館のようになっており、その上からざっぱんざっぱんと海水が溢れていてウミガメが見えた。このウミガメがめちゃめちゃデカく、おそらく国立科学博物館に飾られている4mくらいのカメの骨と同じくらいのスケール感だったと思う。あとなんかトイレの夢を見た。

遊んだ

大学の友達と紅葉を見に行こうとして朝起きたら雨が降っていた。どうする~?とラインしてそのまま4度寝くらいした。なぜ平日にも関わらずこれほど余裕ぶっこいているのかというと学祭期間だからである。許しがたいことに私の大学は片田舎のくせにオンライン開催にしやがった。阪大も外大も早慶も対面開催で、東大はオンラインだが休みが一週間くらいあると聞いた時の私の慟哭といったらなかった。インスタのストーリーで皆が学祭を楽しんでいる煌めく青春のひとかけらが流れてきて精神に悪すぎる。こんな目に遭うなら私も旅行でもなんでも行ってキラキラJDぶりを見せつけてやろうかと思ったが、気づいたら学祭期間の内一日はきのこ探し、他はすべてバイトで埋まっていた。今日は午前が空いていたので優雅に紅葉でも見ようかと思ったらこのざまである。

結局お昼だけ一緒に食べようということになった。一番栄えている場所に集まったのは良いが、実家暮らしの彼女と引きこもりの私はどこに行けば何があるのか皆目見当がつかなかった。「この辺に来ると物が多すぎて訳わかんなくなっちゃう」と言ったら「東京出東京出身がそんなこと言わないでよー」と返されたが、東京出身だからって混沌に慣れているわけではない。渋谷に行ったら訳わかんなくなってサイゼで絵しりとりして帰るような人間だから仕方がない。二人とも気が変になって雑貨屋でクリスマスの飾りを見た。私はクリスマス(の飾りつけの雰囲気)が大好きで、本気で大きめのクリスマスツリーの購入を検討しているため、ツリーに何を飾ろうか妄想して一人で盛り上がっていた。

この店を出た後何をしたかあまり覚えていない。錦市場が賑わいすぎていてキモイな…となったことと、ダイエットを物凄い成功させてそのまま消えるタイプの自殺をしたいよねと話したことは覚えている。友達が私の高校を検索して立地に目を真ん丸にしていたのがかわいかった。気づいた時にはなんかハンバーグを食べていた。

おいしかった。

帰りに漫画を買った。

寄生獣の作者が描いている古代ギリシアものである。岩明さん漫画が上手すぎる。1巻の表紙がダサいのと3巻あたりまで話が大して動かないのでつまらないと思われがちだが3巻から本当に面白いから、お願いだから、本当に、後生だから、読んでほしい。ロマンがあって本当おすすめ、歴史分からなくても面白いから、ね?ね?主人公エウメネスの聡明さが格好良くて読むたびこういう風になりたいなと思う。そして基本彼が無双しているから安心して読める。懸命になって集めているのだが、なぜか6巻だけがどこにもないので7,8巻を手に入れておきながら話が一切進められていない。早く私にエウメネスの活躍を見せておくれ~。エウメネスかっこい~~~

バイトした

バイトに新しく入った人が常に演劇部の演技みたいな喋り方をしていて怖い。お店の人が捨てていた大量のマヨネーズの賞味期限が2015年で面白かった。(もちろん誰も口にはしていない。)2015年といえば私はまだ中一で、入学した場所が公立中というよりは公立動物園(さらに言えば奇妙な鳴き声が響き渡る野鳥の檻)と呼ぶのにふさわしいということに気づいて絶望に苛まれていた頃である。そんな大昔からこのマヨネーズは店に鎮座して今日まで捨てられるのを待っていたのだ…。私はマヨネーズのアンチなので一切同情などせぬが。

 

最後にきのこ探しの時に食べたクリームパンマンみたいなクリームパンを見てください。

おしまい。

 

紅葉に高揚!!!wwwwwwwwwwwwwww

今年からこの町で暮らし始めた一回生たちが一斉に浮足立つ季節、そう紅葉の秋である。私とて例外ではなく、授業が終わるなり自転車に飛び乗って紅葉狩りに向かった。向かう先は東福寺、どこに行けばいいかわからないので「紅葉 おすすめスポット」と調べて出てきたじゃらんのページの一番上に名前が挙がっていた寺である。着くまで坂が多かったのでべらぼうにきつかった。小学生のころ起伏が多い地域に住んでいたためこんな坂よりもずっと急で長い坂を余裕で上り下りしていたことを思い出して死にたくなった。

特別拝観の拝観料の高さに怯み、奥の方の300円で入れる庭をまずは見に行った。

座敷から紅葉が眺められるのはなかなか風情がありませんこと?南北朝時代から続く由緒正しい場所らしいが、日本史弱者なのでよくわからない。中国の南北朝時代のほうがまだわかる。余談だが、高校時代の友達が何度訂正されても南北線のことを南北朝線と呼んでいたなあ。

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昔の飛行士のゴーグルのようなものをつけている仏像があって面白かった。どういうことかわからなかったので自分の中でオーパーツだということにしておいた。

戊辰戦争とか西郷隆盛ゆかりのスポットらしい。紅葉の山に囲まれて歴史に思いを馳せられる場所かと思いきや、背後に小学校があるらしく絶えず子供の叫び声がフルスロットルで聞こえ続けなぜか太鼓の音まで聞こえてきた。

この庭園を出た後、特別拝観地区に入るべきかしばらく考えたが文化活動に払う金だけはケチってはいけないという自分の中での誓いに従って高い拝観料を払うことに決めた。おかげで今、身も懐も寒い。体が寒いのは横着して夏の終わりに使う用の布団でまだ寝ているためだ。料金が高いだけあってもちろん中は息をのむような美しさだった。

頭空っぽで見ていたため書くことが何もない。これらの写真を見ていただければ大体の言いたいことはわかると思う。

東福寺は大きな寺なので周りにもゆかりのある寺や神社が密集している。全部見てやろうと思ってうろうろ歩き回っていると勝林寺という花手水が美しい寺があった。以前散歩をしていて入った寺にも花手水があったのだが周りにゴム製のアヒルと亀が大量に置いてあったために雰囲気が大崩壊しており、初めてちゃんと綺麗な花手水を見れたので嬉しくなった。

こんなことを言うのもおこがましいのだが、蜷川実花さんのような写真が取れて凄い。

目の前で高校生カップルのいちゃつきを見せられて一気に体力が半分以下まで減ったが、老人の集団の「ここの紅葉は清水寺みたいで綺麗ですね」「はははそれじゃこの蕎麦はラーメンみたいでおいしいですねと言うようなものですよ」という会話が面白かったので何とか私の体も耐えきることができた。

帰ってアネクメーネと化していた部屋をエクメーネにして友達と勉強会をし、碌に勉強しないで寝た。まだ紅葉のピークはこれからのようなのでじゃらんのページに勧められるまま行ったことの無い寺社仏閣を巡っていきたい。拝観料は決してケチらないと心に固く決意したので月末には両親に初めての無心をすることになるかもしれない。今からなんと言い訳しようか考えておこう。おしまい。

 

我初訪問鼠之国

生まれて初めて(日本の)ディズニーに行った。十数年東京に住んでいて東京ディズニーリゾートに一度も行ったことがなかったというのは天然記念物や珍獣を超えてもはやこの世のバグ、想像上の生物のようなものである。その原因は小中とろくに友達がおらず、親がディズニー好きではなかったために家族と行くこともなかったこと、そして高校に入ってからはなぜかずっとタイミングを失い続けていたことである。自分は行ったことがないのに周りが普通に行っているとハードルが勝手にどんどん上がり、さらに行きづらくなっていたのである。ちなみに「日本の」というのを常に強調しているのは海外のには行ったことがあると主張しないと私の沽券に関わるからである。ディズニーに行ったことがないと言って相手がえっ可哀想という反応をした時すかさず海外は経験があると言えば一瞬で形勢を逆転できて気味が良いのでしょっちゅうやっていたものである。しかしこれももう過去の話。私はついに今日を持って「ディズニーに行ったことがある人」の仲間入りを果たしたのである。正直こんな普通でない状況には辟易していたし、本当に本当に行ってみたかったのだ。

同行してくれたのは高校時代から仲が良かったAとIである。Aは高校時代から通学に使っていたバカでかいリュックで来ており、彼に勧められ園の外で飲み物を買ったものの鞄に入らなくて困惑していた私は彼に持たせることにした。かつて教科書が山盛り入っていた彼の鞄の中には今度は食べ物が山盛り入っており(私に会うなりキットカットだのせんべいだのたくさん渡してきた)、その上からパーカーを押し込んでぱっと見はわからないようにして堂々と入場のチェックを通り抜けていった。

二人がセンター・オブ・ジ・アースを「センター」と呼ぶので私はその乗り物を大学入試センターと呼ぶことにした。これに並んでいる間、Aはおもむろにリュックから100円くらいで小さなクリームパンが5個くらい入っているものを取り出し食べ始めた。

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これは待つ場所の壁なのだが、これを酸性雨の影響ということにして人々を啓発するブログを書こうと思ったものの面倒くさいのでやめた。ディズニーの装飾は本当に手が込んでいて感心するばかりである。

マーメイドラグーンのあたりに幼児向けの雑魚ジェットコースターがあるのだが、これで叫ぶ人がいたら面白いかなと思って喉が潰れるまで本気で叫んでみた。周りから笑い声が聞こえた気がしたがコースターが走っている間の私は全身全霊で叫んでおり、持てる力全てを使っていたため周りの状況なんて把握している余裕などなかった。あとで二人に聞いたところ私の本気の絶叫に皆笑っており、後ろのおじさんに至っては悲鳴を上げるほどウケていたらしい。二人も笑ってしまって私と一緒になって叫ぶどころではなかったという。ちなみにこんなにドッカンドッカンウケたことに味を占めた私たちは夜になってから再び乗り、今度は三人で本気の叫びをパークに響かせたが時間が経って人々も疲れていたこととカップルが多くて大ウケする雰囲気ではなかったことにより、残念ながら周りからの反応は絶無で萎えたのであった。

タワーオブテラーに乗ることになったのだが、タワーオブテラーの外観は以前からかわいいなと思っていたのでかなり楽しみであった。(実際、内装も好みだった。)しかし、並んでいる途中にIが異常に怯え始めた。この時撮った写真が数枚あるが、Iだけ全て目が死んでいる。このアトラクションがどんなものなのかネットで見た情報と人からの話でうっすらとしか知らない私は最初は倒れている石像に「ねえ、起きて起きて!朝だよーー!!」と話しかけるなど自信満々であったものの彼女の様子を見て不安になり始めた。Iに怖いかどうか聞いても既に会話すらままならない状態なのでAの方を向き、「これって生きて帰れる?」と聞いたところ、大丈夫だよーと言われたが、よくよく考えるとAもまともな恐怖心を欠如していそうだったので信用はできず、香港のディズニーにはそれほど怖い乗り物はなかったという記憶からディズニーは手加減してくるものだという自説を信じることにした。実際乗ってみたところ、確かに暗闇を落ちるのは怖いが全く大したことはなかった。よみうりランドアメリカで乗ったフリーフォールのほうがよっぽどスリリングである。内臓が持ち上がる感覚が好きな私としては残念極まりない。Iは死にそうになっていたが。彼女以外でそんな風になっていたのは全て5、6歳以下であった。

諸事情によりIと二人で行動することになった。以前からかわいいと思っていた船コロンビア号に乗り込み散歩したが、ここがそれはもう恐ろしい陽キャの巣窟と化しており、生足出したJK達が通路の反対側にカメラをセットして写真撮影に勤しんでいるため通路を歩くこともままならない。パークを一望できる見晴らしの良さと反対側には海という好ロケーション、淡い色調の船内に引き寄せられて彼らは砂糖に群がる蟻のごとくうじゃうじゃと集まってくるのだ。間違いなく下手なスラムよりも恐ろしい場所である。

写真を撮るだけ取って早々に退散した私たちは先ほどからかわいいと話していたポップコーンバケツが売られているスタンドを見つけたのだが、その値段は驚くべきことに3,200円であった。Iはこの価格設定に恐れをなし一瞬にして購入を断念していたが、私の場合よくよく考えてみれば京都市に自転車を取られてさえいなければこれを平気の平左で買えたのである。一度は封じ込めた怒りと悔しさがまたふつふつと湧き上がってきたので急ぎ足でその場を後にした。その後アクアトピアに乗ったのだが、Aはいつもトイレに行くとき「アクアトピアに行ってくるね~」「スプラッシュマウンテンに行ってくるね~」と言い、体や腕をくねらせながら舞うようにして去るような輩なので、これが例のアクアトピアかと思うと感慨深いものがあった。

Aも無事に合流し、マーメイドラグーンで遊んだ。中にあった席が2-3m程ゆっくりと上下するだけのアトラクションに乗ったのだが、これがもう想像を絶するつまらなさであった。並んでいる途中(と言ってもほぼ誰も並んでなどいないが)、そのあまりにつまらなさそうな様子に絶叫マシンに乗る前に似たような感覚で不安が掻き立てられる。実際乗ってみた感想は「だから何」、ただこれだけである。一人で乗る羽目になったAの虚無顔が忘れられない。

その後もAがメリーゴーランドの椅子にされているジーニーと突然自撮りを始めたり、陽気な女性たちのグループに撮影を頼んだら私達が暗く映ってしまうといきなりスマホのライトで照らされたりなどがあった。初めて知ったのだが、パーク内のホテルに泊まる人たちは帰ってゆく人たちに部屋からライトをつけたスマホを振って別れを告げるという風習があるらしい。明日も楽しい一日が待っている彼らの気持ちと言ったらこれ以上ないほどの気持ちよさだろう。悔しくなってライブで退場する芸能人のごとく両手を挙げて四方八方に振りながら「ありがとう!ありがとう!皆ありがとーーーっ!!」と叫びながら帰ってやった。出口付近で撮影を知らないお兄さんに頼んだところ、なぜか彼の自撮りもつけてくれた。これが陽キャのコミュニケーションかと恐れ慄くばかりである。普段から陽キャになりたいと切望している私だが、こんな芸当きっと一生かかってもできない。全国有数の陽キャの少なさを誇る大学に通っているので特段問題もないだろうが。というか自分の写真を撮っている暇があるのなら私のカチューシャの耳が折れていることを指摘してほしかった。

センターオブジアースが中を走る山は圧倒的な大きさを誇り、火と煙を噴き上げ夜はサリーみたいな色に照らし出されるという仕様なのだが、いったい建設にはいくらかかったのだろうか。ずっとこの疑問が心を離れない。

さっきまであんなに動いていた足が門を出た瞬間倍くらい重くなったことが私にとってどれくらい楽しい一日であったかを如実に示している。行ったことが無さ過ぎて実在を疑うフェーズに入っていた東京ディズニーリゾートがやはり存在するとこの目で確かめられたのも良かった。次はランドにも行きたいものである。おしまい。

帰省日記

帰省

とある楽しい用事のために故郷東京に向かっている。東京以外の場所で暮らし始めて気付いたことがいくつかある。一つ目。私は超絶都会っ子であったということ。都会の高校に通っていたため私の住んでいる場所は同級生たちに普通に田舎呼ばわりされたり、使っている路線のイメージで勝手に田舎者と思われたりした。しかし、こっちに来てからは状況は一変した。ニットにスカート、パンプスという女子大生ファッションをするだけで都会のおしゃれな女の子っぽいと言われ、先生からはクラスで一番の都会っ子認定を受け、バイト先の人はなぜか私の出身地を聞いた途端謝罪してきた。正直悪い気持ちはしない。この点でも地方大はお勧めである。二つ目。歩けばスタバにあたるというのは東京だけである。三つ目。東京人以外は東京ばななに興味津々である。東京人は東京ばななのことを空気程度にしか思っておらず、ほとんどの人は食べたこともなく、会話に上った試しもないということを話すとみんな驚く。この間異常に圧の強い二外の先生に東京のおすすめの食べ物を聞かれ、そんなものはないから必死に考えて「も、もんじゃ焼き…」と答えたところ、「No!!!No!!!Tokyobanana!!!HAHAHAHAHAHAHAHAHA☆!!!!!!!」とまさかのマシンガンのごとき全否定からの訂正を真正面から食らったので私はすっかり参ってしまった。おそらくは一生忘れないであろうほどのインパクトを持った出来事であった。